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助けて!から助け手へ!!

「ゆっこ XP」への出発(たびだち)

「パソボラ・カンファレンス2001」を期して発行の
『障害者と家族のためのインターネット入門』
出版(原稿1600字前後)バージョン

2001年11月17日 更新


 坂戸パソボラは、と言われても、坂戸ってどこ?ですよね。埼玉県の真ん中あたり、川越の隣が坂戸です。会員の大半は坂戸ですが、お隣の川越や鶴ヶ島の人も大勢です。サポートに参加したい人だけでなくサポートを受けたい人、パソコンは初心者でも他のことならと活躍しているメンバーでいっぱいです。

 坂戸パソボラの「視覚障害者パソコン体験講座」では、去年参加して初めてパソコンにふれた「ゆっこさん」こと吉田有紀子さんが講師の一人をつとめました。

ゆっこさんたちの写真:クリックすると大きくなります

 ゆっこさんは数年前に眼底出血が発見され「手術しないと失明する」との宣告で手術をしたら失明し、自宅で過ごしておりました。が、友人の祐子さんから「メール、音声で出来るらしいよ」と教えられ、そっか、その手があったか!とトキメイタまさにその翌日、伯母の裕子さんからパソコン講座開催の知らせ。すごいタイミング!と参加したのが、初めてのパソコン体験でした。

 講座に参加して自分にも使えると実感したゆっこさん。翌月にはパソコンを購入し、パソボラのサポートで自宅で使えるようになって2週間でメールを楽しむようになりました。「元々覚えがいいから、とかじゃなくて、ブラインドタッチじゃないと使えないから」とアッケラカンと笑うゆっこさんです。

 サポートの連絡を取り合う中で友人の祐子さんがパソボラに入会し、伯母の裕子さんも「ゆっこのサポートができるようになりたい」とパソボラに入会しました。では、ゆっこさんはどうだったでしょう。ほかのことではバイタリティーにあふれているのですが、入会については慎重でした。メールメンバーになって数か月。

どう、坂戸パソボラの様子、わかってきた?

うーん、だいたい。

で、どう?

私が参加しても何もできないし…。

そんなことないよ。
ゆっこさんは音声読み上げでパソコン使っているわけじゃない。
ゆっこさんに電話で教えられながらだったら
音声環境に慣れてない人でもサポートに参加できると思うんだ。
そんなとき電話で助けてもらっていい?

はい。

これで、ゆっこさんも"在宅ボランティア"できるね(笑)


でさ。また今年も講座やるんだけど。

わー、また受けてもいいんですか?

うんにゃ、今度はサポーターしてほしいんだ。

えっ、私がですか?

そう。ゆっこさん、2週間でパソコンできるようになったよね。
これからパソコン始める人にはそれだけで
勇気と希望の生きている見本だよ。

えー、照れるなぁ。

それに、まだまだ初心者だったころの気持ち、忘れてないと思うし。

まだまだ初心者ですよぉ。

ならサポーター最適だー(笑)

・・・そうか、それなら私にもできるかな。
私はこうやって覚えましたと紹介するくらいならできそうだし。
なら入ろうかな!

 こうして入会したゆっこさんは、持ち前の明るさで坂戸パソボラの世話人に推されておりました。そして、こんなメールがゆっこさんからみんなに届けられました。

パソボラのみなさん、こんばんは。

実はこの度、国立リハビリセンターに入所し
生活訓練を受けてくる事にしました。

とっても楽しい「視覚障害者のためのパソコン体験講座」を
フル参加できないのは残念ですが、
リハセンで心身共に鍛えて
『ゆっこ XP』にバージョンアップして
帰ってきたいと思っています。

そして少しでも自立できた暁には
岩渕さんの肩に乗った荷物を
軽くできたらと思います。
かよわい私だけでは難しいようなら
みんなで協力してやりましょう。

 「帰ってきたら少しは助け手に近づけるかな」と語るゆっこさん。すでに、ゆっこさんは助けられることを通じて、助けた人の中の“助ける力”を導きだし、その人の人生を励ましてたんですよ。今度は、ゆっこさんが“助ける力”を育てる番ですね!

 9月の朝。ゆっこさんは国立リハビリテーションセンターに出発して行きました。
助けて!から助け手へ!! 「ゆっこ XP」への出発(たびだち)です。


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