Write by Mt.Buchi
2000/10/07 更新
(潰れたコンピュータ雑誌の「未来特集」掲載)
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朝なのか昼なのか、目覚めたもののボーっとしている。頭が少し痛い。「夕べ何か約束したかな?」と呟くと、PSS(Personal Support System)が反応してホログラム(こいつは3DTVに出ていた可愛い娘のパーツからミックスしたヤツだ)を送り出し「どうかしました?」と開いてくる。 オレが「アノこと…」と言うと、PSSはオレの最前の発言から『昨晩の・誰かとの・約束の有無』に関する質問と解析し、「スケジューラ」上で演算された「交友関係データ」が、赤外線センサによる現在の血中アルコール濃度と銀行残高の変動による昨晩の支出データと共に、ネットワークの「近来来予見支援プログラム」に渡される。 すると、ホストコンピュータは、オレの会社的地位と業績に、昨晩会った(ハズの)ヤツらからの同様の問い合わせを加味し、オレの将来の言動の予測値をPSSに伝えてくる。そこで、PSSが、オレの過去数十年のパターンと最近の趣向から演繹して、約束したに違いないアレコレの確認をあの娘にささやかせるというわけだ。 …参った。まるで覚えがない。が、コンピュータに逆らうほどの記憶があれば初めから聞いたりはしない。またしても“確認一即ち事実”が記録され、オレのレールが敷かれてしまった。オレはまた呑みたくなった。 |
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