日本障害者協議会 Japan Council on Disability
08年10月16日更新
VOL.28-7 通巻NO.340
日本障害者協議会理事
岩崎 晋也
厚生労働省社会・援護局が設置した「これからの地域福祉のあり方に関する研究会」の報告書(「地域における『新たな支え合い』を求めて−住民と行政の協働による新しい福祉−」)が2008年3月に出た。
報告書では、地域における多様な福祉課題として、
それに対して、基本的な福祉ニーズは公的な福祉サービスで対応するという原則を踏まえつつ、自立した個人が主体的に関わり、支え合う、地域における「新たな支え合い」(共助)の領域を拡大、強化することを求めている。
この報告書は、かつての地縁にもとづく相互扶助の再生を求めるのではなく、逆に地域そのものが排除の主体となるという負の側面にも配慮した「新たな支え合い」を求めるものであり、まさにこれからの地域福祉のあり方を示している。
その一方で、高齢者のみならず障害者分野においても、公的な福祉サービスは飛躍的に発展しており、残された問題は地域の「新たな支え合い」が対応すべきと認識している。その例として、様々な問題を抱えていながら、従来の公的な福祉サービスで定められているサービス給付要件に該当しない、「制度の谷間にある者」への対応が挙げられている。しかし障害の定義や認定の問題(障害者として認定されな い者の問題)や、障害者自立支援法による応能負担の問題など、公的な福祉サービスはその内容も水準も大きな問題を抱えている。にもかかわらず、その限界は「新たな支え合い」が担うものとされることには到底同意できない。
障害にかかわらず生活保護などのセーフティネットそのものが脆弱化している今、確認すべきは「基本的な福祉ニーズは公的な福祉サービスで対応するという原則」そのものなのではないだろうか。
日本障害者協議会代表 勝又 和夫
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