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09年12月18日更新
VOL.29-9 通巻NO.354
日本障害者協議会理事
赤平 守
2009年も終わりを告げようとしています。昨年の今頃、私たちは現職の厚生労働大臣が自ら「障害者自立支援法を廃止」を明言するとは考えていなかったのではないでしょうか。
司会としてこの3年間、ステージの上から見続けてきたのでよくわかるのですが、昨年とは空気に色がついているかのように、全く違う世界が同じ日比谷野外音楽堂の中にありました。この歴史的な転換とやがて成立するであろう新法が、多くの障 害者を抱えた方々の自立生活獲得に繋がっていくことを願うばかりですが…。
10. 30大フォーラムに出席された反貧困フォーラム の湯浅誠氏が発言されたように、今、この国には貧困や障害ばかりでなく、様々な生き難さを抱えた人びとと、生き難さの連鎖が蔓延しています。生き難さを抱えた人々の増加する社会は病理を抱えている社会かもしれません。
障害者自立支援法の目的にある「障害者と障害児がその有する能力及び適性に応じ〜」という文言は人が主体的・自己決定的に生きることの意味を否定し、他者により、生き方を左右されるということに他なりません。
そして、この構造は、この国で増加し続ける、様々な形で生き難さを抱えている人たちの根本的な悩みとも言えるのではないでしょうか。障害者自立支援法ばかりではなく、支援という言葉を借りて、実際には管理・支配している関係性が蔓延しているような気がします。これは「依存症者と共依存者」の関係にも似ています。この関係の中では人は決して幸福になれません。
人はお互いに依存することなしには生きていけない生き物ですが、障害のある人の生活を考える上でも「障害分野」という特別な世界観だけで捉えるのではなく、同じ人間として対等な立場で尊重し合える「相互依存」の関係を作り上げられる社会が成熟した社会だと思います。
そのためにも、私たちは焦らず新政権の取り組みを見守っていかなくてはなりません。「Nothing about us, without us ! 私たち抜きに私たちのことを決めないで!」という言葉を忘れずに。
2010年が2009年よりも少しでも前進しますように。
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