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日本障害者協議会 Japan Council on Disability
11年3月17日更新
VOL.30-12 通巻NO.369
日本障害者協議会理事 薗部 英夫
先月、父を看取った。78歳。2006年に脳梗塞で倒れ、片マヒに。「字が書きたい」願いは懸命のリハビリで叶うも、昨年春頃から衰えがすすみ、お盆すぎには1人で立ち上がれなくなった。秋からは、唯一空きのあった介護型療養病院で過ごしていた。
障害者権利条約のドン・マッケイ議長は、「平均寿命70歳を越える国の人々は、平均8年間、人生の11.5%は障害をもちながら過ごす」と講演した。日本の場合、そのうちの要介護期間は男1.5年、女3年と聞く。それは長いのか短いのか。いずれにしても、誰もが生まれてから死ぬまで、誰かに支えられ、誰かを支える。けっして1人ではない「お互いさま」の関係がある。
ところが、介護型病床は13万床からゼロが決定されている。反対運動で6年延長となったものの、「高齢者集中型から全世代対応型へ」は社会保障改革の大路線だ。現在の検討本部室長は、自立支援法審議で「福祉は買うもの」「それが新しい福祉の考え方」と国会答弁した中村秀一社会・援護局長(当時)。高齢者と障害者の問題はここでもつながっている。
障害は「自己責任」。「トイレに行く、外出するなど日常行為を支援すること」は「益」。だから「利用料」を払って当然。扶養は家族に義務がある…。この考えのもとに制定された障害者自立支援法は、猛烈な反対運動と世論によって否定され、違憲訴訟団は「基本合意」を政府と交わした。
これは障害者だけでなく高齢者や子育てにもつながる「福祉の思想」の転換だった。社会的な困難は、個人や家族の責任ではなく、社会全体で支える。それは「お互いさま」だからだ。
「人間としての尊厳を深く傷つけたことに対し」「障害者及びその家族に心から反省の意を表明する」と支援法訴訟団と国(厚労省)との合意文書。制度改革推進会議は、この基本合意と権利条約をうけてスタートした。そして、その第一歩の障害者基本法抜本改正案が大詰めを迎えている。
逆風のなか、生きることの絶対的価値、人間の尊厳を守り抜く過去から未来につながる長い道のりを、私たちは歩んでいる。
太田 修平
全国列島キャラバン覚書
武者 明彦
年表 2009年〜2010年
権利法不在の権利条約批准は意味がない
小野 浩
「障害者基本法改正案」に対する障害者自立支援法違憲訴訟団の声明
閣議決定に沿った障害者基本法の抜本的改正を求める日弁連会長声明
『障害者基本法改正案』をめぐって
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