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7.障害のある人々の所得保障と扶養義務に関する問題

日本障害者協議会  Japan Council on Disability

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1024日更新

就労が困難な障害がある人々の所得保障として大きな役割を果たしている障害基礎年金(1級)は、月額約8万円程度で、地域での自立をめざすには低すぎると考えます。

学生時代の交通事故・スポーツ事故、また精神障害などによる無年金障害者が増加しています。卒業後も雇用の非正規化などで、未納・未加入無年金障害者も急増し、過去の国籍要件によって未だに年金の給付を受けられない人も数多く存在しています。

また、福祉サービスや医療費の自己負担については、本人、すなわちサービスを利用する個人の収入のみによって決定すべきと考えます。民法の「扶養義務」規定を理由として、家族(親兄弟・配偶者等)の収入にまで及んだ、障害者自立支援法の利用料徴収に関する収入認定の範囲を改めるべきと考えます。

また、子育て中の障害児家族への配慮は、障害者自立支援法の下でも、成人した障害者本人の負担以下となる軽減策が検討されてきました。しかし、その将来までを考え、さらなる軽減策を打ち出すべきと考えます。

さらに、障害がある人の自立を困難としている要因として、住宅の確保が難しいことがあります。生活保護から住宅扶助を切り離し「住宅手当」を創設することを、JDは早くから主張してきました。中国からの帰国者等に対しては、「住宅手当」が検討されましたが、障害も対象に含む「住宅手当」の創設が必要と考えます。

こうした視点を踏まえ、所得保障について昨年もお答えいただいた下記設問に、改めて貴党のお考えをお聞かせください。

Q7−1

貴党の無年金障害者問題についてのご見解をお聞かせください。

  1. すべての無年金障害者に対して、障害基礎年金受給者と同程度の所得保障を行うことに賛成である。
  2. すべての無年金障害者に対して、障害基礎年金受給者と同程度の所得保障を行うことに反対である。
  3. 何ともいえない

それぞれのご回答についての理由をお聞かせください。(200字以内)

政党名・回答 理由
民主党
賛成
無年金となった理由ではなく、現に障がいがあるという事実を受け止め、無年金障がい者全員に基礎的な所得保障を行うべき。具体策については、障がい者制度改革推進会議で検討されるべき。
自由民主党
何ともいえない
記入なし
公明党
何ともいえない
公明党は無年金障がい者の救済のため「特別障害給付金支給制度」創設のための法律の成立に尽力してまいりました。6月に「障がい者の所得充実のための国民年金法等の一部を改正する法律案(障がい者所得保障法案)」を提出しました。
無年金者の救済のために、坂口私案から残る2類型―未納者、在日外国人―を制度上位置づけ、障害基礎年金額の引き上げ、特別給付金の引き上げ、福祉ホームに住宅手当を支給など、盛り込んでいます。
公明党単独の提出となりましたが、無年金者救済への動きを起こしてまいりたいと考えています。
日本共産党
賛成
無年金の障害者になったのは、「自己責任」ではなく、制度上の不備・欠陥が原因です。国が責任をもって障害基礎年金受給者と同程度の所得保障を行うべきです。
特別給付金制度はあくまでも福祉的措置であり、日本共産党はあくまでも年金制度の枠内での解決をはかるべきだと考えます。
あわせて、すべての人が受け取れる最低保障年金制度を創設し、すみやかに支給を始めて、無年金や低年金者の底上げをはかっていきます。
社民党
賛成
無年金障害者問題は、本人に非はなく、制度の谷間の問題である。生活の実態に即して所得保障を行うべきである。
たちあがれ日本
何ともいえない
国民年金との整合性、財源の裏付けと並行して議論すべきであると思う。

Q7−2

障害のある人々に対する所得補障に関する貴党のご見解を改めてお聞かせください。

  1. 所得保障として障害基礎年金水準を引き上げていくことに賛成である。
  2. 所得保障として障害基礎年金水準を引き上げていくことに反対である。
  3. 何ともいえない。

それぞれのご回答についての理由をお聞かせください。

政党名・回答 理由
民主党
その他
(昨年の回答:賛成)
今後、障がい者制度改革推進会議で検討されるべきものと承知している。
自由民主党
賛成(昨年の回答:
何ともいえない)
社会保障制度全般との整合性を考慮し、税体系抜本見直し等の際に障害基礎年金の引き上げなど、障害者の所得保障を確立するべきだと考えます。
公明党
賛成(昨年の回答:
何ともいえない)
地域で暮らすための重要課題の一つは、所得保障です。税制・社会保障制度一体改革の中で、ともすれば年金・介護・医療分野が優先され、障がい者が取り残される傾向にあるため、前述の法律を提出するなど、真剣に考え、推進してまいります。
日本共産党
賛成
障害が重い人は、多くのサービスを必要とし、費用負担もかさみます。月額8万円程度という障害基礎年金では、地域で自立した生活をめざす所得保障としてはあまりにも低すぎます。
権利保障の観点から、引き上げは当然です。あわせて、すべての人が受け取れる最低保障年金制度を創設し、すみやかに支給を始めて低年金の底上げをはかっていきます。
社民党
賛成
現在の障害基礎年金水準は低すぎる。憲法第25条生存権の観点からも引き上げるべきである。
たちあがれ日本
何ともいえない
国民年金との整合性、財源の裏付けと並行して議論すべきであると思う。

Q7−3

成人した障害のある人々の「扶養義務」との関連で、サービスを利用する際の自己負担額を決定するための収入認定の範囲についてご見解をお聞かせください。

    1. 「扶養義務」の範囲から家族(親兄弟・配偶者等)を外し、自己負担額はサービスを利用する個人の収入のみによって決定することに賛成である。
    2. 「扶養義務」の範囲から家族(親兄弟・配偶者等)を外し、自己負担額はサービスを利用する個人の収入のみによって決定することには反対である。
    3. 何ともいえない。

    それぞれのご回答についての理由をお聞かせください。

    政党名・回答 理由
    民主党
    その他
    成人した障がい者が地域で自立して生活していかれる福祉制度の構築が必要であり、サービスの利用者負担は個人単位を原則とすべき。今後、障がい者制度改革推進会議で検討されるべきものと承知している。
    自由民主党
    何ともいえない
    障害福祉サービスの利用者負担については、一昨年7月から既に、負担上限を「世帯全体」ではなく「本人及び配偶者」のみの所得で判断する様に見直しをしています。
    公明党
    何ともいえない
    公明党は、皆様からのご意見に基づき、障害者自立支援法の成人の障がい者について、障害福祉サービスの負担上限額を算定する際の所得段階区分を「個人単位」を基本として見直し、本人と配偶者のみを勘案することを政府に強く求め、実現しました。
    今後、福祉制度のあり方を含め、検討をしてまいります。
    日本共産党
    賛成
    自立支援法では所得認定基準に「世帯」として親・兄弟が復活しましたが、批判を受けて配偶者だけを残しました。自立支援医療では依然として「世帯」が問われてしまいます。
    障害者の家族は、障害ゆえの負担をさまざまにしいられており、扶養義務をはずして、本人所得のみで収入認定すべきです。
    社民党
    賛成
    扶養義務を親兄弟に課すことにより、障害者は家族の重荷となってしまう。真の障害者の自立支援のために扶養義務を外すべきである。障害者を自立した人格とすることは当然である。
    たちあがれ日本
    何ともいえない
    障害者のみ世帯分離が認められている状況で配偶者まで分離することは、他の制度との整合性を考えると難しいと思う。

    Q7−4

    子育て中の親をはじめとする障害児家族が担う福祉サービス利用料や医療費について、貴党のお考えをお聞かせください。障害児の親や家族への利用料徴収については、成人した障害者本人とは別に、その将来をも考慮して利用料徴収の基準を設けるべきである、という意見に、

    1. 賛成である
    2. 反対である
    3. 何ともいえない

    それぞれのご回答についての理由をお聞かせください。(200字以内)

    政党名・回答 理由
    民主党
    その他
    障がい福祉サービスの制度設計全体の議論の中で検討すべき。
    自由民主党
    記入なし
    記入なし
    公明党
    何ともいえない
    様々な論点があるため、福祉上の扶養という考え方を含めて検討してまいります。
    日本共産党
    賛成
    障害児も「子どもの権利条約」のかかげる、子どもにとっての最善の利益が追求されることが基本です。
    日本共産党は、障害者・障害をもつ子どもの福祉や医療はすべて無料化をめざしており、とりわけ障害をもつ子どもたちに厚い支援をおこなうことは、子育ての無償化の観点からも当然であると考えます。
    社民党
    賛成
    子どもの権利条約の理念にもとづいて考える。障害児の福祉サービス利用料は原則無料化を検討すべき。
    たちあがれ日本
    何ともいえない
    現在でも親の所得に応じた減免措置が講じられており、利用者の額の議論は別にして無料は良くないと思う。

    Q7−5

    昨年の衆議院選挙の際にもお尋ねした障害者も対象に含む「住宅手当」の創設について、貴党のご見解をお聞かせください。

    1. 賛成である
    2. 反対である
    3. 何ともいえない

    それぞれのご回答についての理由をお聞かせください。(200字以内)

    政党名・回答 理由
    民主党
    その他
    地域で自立した生活を営むために、住宅の確保は重要。所得保障の水準の引き上げ、公営住宅の確保、家賃補助等、どのような制度設計にするか、障がい者制度改革推進会議等で検討すべき。
    自由民主党
    何ともいえない
    今国会に提出した改正案に障害者の地域移行を促進するため、グループホーム・ケアホーム入居者に対して利用に伴い必要となる費用の助成を行うこととしている。
    公明党
    賛成
    与党でとりまとめました「障害者自立支援法の抜本的見直しに関する報告書」において、公明党の主張により「住宅手当の創設についての検討」が盛り込まれました。
    障害者自立支援法改正案には、グループホーム・ケアホーム利用者に対して、住宅手当の創設を明記しました。また、公明党の「所得保障法案」では、福祉ホームへ拡大対象しています。実現へ向け取り組みを進めてまいります。
    日本共産党
    賛成
    障害者が地域で自立した生活を送る上で、住宅の確保は大きな課題です。低家賃の公共住宅が圧倒的に少ない現状のもとでは、「住宅手当」の創設は重要な課題だと考えます。
    社民党
    賛成
    諸外国と同様に、日本の社会保障に住宅政策をきちんと位置づけるべき。住宅問題は人権問題である。
    たちあがれ日本
    賛成
    改正障害者自立支援法には、グループホーム、ケアホームの家賃補助が含まれており早く成立させるべきだと思う。地域移行の促進のためにも財源も考えながらアパート等にも対象を広げていくべきであると思う。

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