日本障害者協議会 Japan Council on Disability
08年8月29日更新
日本社会事業大学教授
障害者問題の「社会化」のためにも、市町村・都道府県障害福祉計画および市町村・都道府県障害者計画の策定と見直しの活動は重要であろう。
とくに市町村障害者計画の義務化は今年度からであり、当事者参加・市民参加の取り組みによって、障害者理解を広げつつ国の基本指針や障害者プランの上方修正を図って行くことが望まれる。特に知的障害者や精神障害者が効果的に計画作りに参加するためのノウハウを、JDなどが中心となってまとめ、活用してゆきたいものだ。
影響力の強い政策提言を可能にするためにも、政府などの保有する基礎的データの情報公開を求め、また総合的な障害者実態調査を実施させ、データと生活実態に即した分析を行い、政策提言の基礎とすることが求められている。
JD調査2006で自立支援法の影響を調べた。HPにも紹介されているように、実施前と比べて大幅に利用料負担が増え、貯金を取り崩したり、家族負担を増やしたり、社会参加のための出費を減らしたりしてやりくりしている姿が浮かび上がった。
この調査の副産物として、勤労収入の有無・額と障害年金の有無・額とが統計的にはほとんど無相関だと示された。障害年金は働いて収入を得ることが難しい人に支給される所得保障制度ではなかったか。この無相関の原因は、年金受給資格認定が労働能力に基づいていないこと、および、保険料納付要件による多くの無年金障害者が存在すること、の2点であろう。放置できない緊急事態といえる。引き続きがんばりたい。(さとう ひさお)