無理をしないことこそ、それこそ長期継続のカギです。そしてこれは、パソボラをする人にとってもですが、サポートを受ける人にとっても同様です。「パソコン教室」を受講する機会があったとしても、受講したからには一度で全部理解しろ!とは言いませんよね。同様に、サポートを受けたからといって、一度で理解や解決ができるとは限らないのです。
ハイ、実に当たり前のこと。「パソコンボランティア」だからといって特に付け加えることはありませんが、ただ、「パソコンボランティア」の場合、出来ない状態から出来るようにしようという目的がありますので、相手の期待に応えるべく、事前の準備を可能な限り入念に行ないましょう。けっこう、現地に行ってから、あれが足りない、これも足りないで、取りに戻る、買いに走る、用意できたらもう夕方!なんてことがあるものです。
依頼者があってこそのボランティアです。相手の人が何を求めているかを常に考え、配慮しながら行動することが大事です。良かれと思ってやったことでも気にいってもらえないことがあります。これは、相手が何を求めているのかをちゃんと理解していなかったことから起こったのかもしれません。個人の家であれ、施設であれ、あらかじめ充分な連絡をとり、さらに現場で確認をしながらサポートすることが大切です。
依頼者がどんなニーズをもっているのかをつかむこと、どんなニーズが予想されるかと考えておくことが必要です。たとえぱ、自分が活動しようとしている地域のボランティアグループの一覧表を参考にして、どんなグループが障害のある人にどんな活動しているかを知っておくことで、個別の要望に応える準備(と心の準備)をしておきましょう。何といっても、そういったグループは、まだパソコンを用いていないとしても障害のある人々のニーズに応えて実際に活動をしているわけですから。
そして、そういったグループに対しても、「パソコンボランティア」としてお手伝いできることがあるかもしれません。坂戸パソボラがボランティア登録をしている坂戸市社協には、2009年度現在で21のグループが登録しています。
まず考えられるのは、これらのグループの会報や資料作りにパソコンを役立てることが出来ると言うことです。これなら、日頃のパソコン使用の延長ですから特に何かをしなくても対応できるのですが、「手話サークル」からは、聴覚障害者への情報保証のひとつである「パソコン要約筆記」の質問があるかもしれません。
「点訳グループ」からは、パソコンを用いた点訳の質問が出るかもしれませんし、MS-DOSの時代からパソコンでの点訳をしていれば(壊れるまでは今のパソコンでと頑張ってはいますが)、Windowsでの点訳に移行する相談が遅かれ早かれあるでしょう。
朗読ボランティアグループからは、それまで作り上げてきた朗読テープを品質劣化せず、しかも作成が抜群に簡単になるデイジー図書化(CD化)への相談があるでしょう。
坂戸市でいうと「拡大写本の会」の説明として、
視力の弱い人は、一人ひとりの見え方に差があり、その人に最も適した大きさの文字で書いたものが必要です。「拡大写本の会」はこのような方々に、本などの印刷物を手書きで大きく書き写しをするサービスグループです。
とありますが、パソコンを用いれば、同じデータを「その人に最も適した大きさ」に合わせて何度も使用することができます。また、出力に適したプリンタを持っていない人でも、パソコンが手元にあれば入力だけは可能ですから、作業の分散化により一人一人の作業量を軽減できます。そのことは完成が早まるということですから、拡大図書を必要としている人たちに速やかに届けられるということです。
人に教えるということは、自分が学ぶことにつながります。自分としては経験的に判っていることでも、いざ相手に教えようとすると説明に困ることがあるものです。
そうなんです。こーすればこーなるからとサッサと設定だけしてあげても、根本的なことへの理解が無かったら独り立ちできませんし、アクシデントが起こったときの対応ができませんから、またしても「パソコンボランティア」出動ということになってしまいます。
パソコンで困っている人は大勢います。パソコンが普及すればするだけ、どんどん増えていきます。でも、パソボラとして動くことのできる人はまだまだ限られていますし、動くことのできる時間も限られています。いつまでも同じことで出動していたらたまりません。
でも、困難に出会った中で一緒に学んでいけば、いつの日か、その人が教えられる側から教える側になるかもしれませんし、教えるまではいかなくても、困った人がいたとき一緒に考える相談相手にはなれます。それだけで、「助けて!から助け手」になることができるのです。大丈夫。パソコンが分からなくても(使えなくても)パソボラはできます。分からないことは、自分につながるパソボラさんたちに相談すればいいのです。
記録することは振り返ることです。記録することで、自分の活動スタイルを問い直すことができます。記憶なんていい加減なものですが、記録しておけば後からの参考に出来ます。
それと、記録したことは自分の中に留め置くのではなく、公表してほしいと思います。色々な事例を見聞きしておくと、何かのときに思い出して参考に出来るものです。
なお、公表するのは成功例だけにしないでください。成功は嬉しいことですしみんなを励ましますが、“失敗例こそ宝”です。失敗を消し去るのではなく伝え合ってほしいのです。思いもよらぬ失敗は、次の人が成功する鍵かもしれません。
ボランティア活動では、積極性が必要ですが、謙虚さも必要です。相手があってこその「パソコンボランティア」ということを忘れないようにしましょう。
鎮座ましましているパソコンさまがお相手なのではなくて、依頼者にとって使いやすいようパソコン環境を整え、依頼者がパソコンを使えるようにするのが「パソコンボランティア」なのです。依頼者が「パソコンボランティア」の作業に立ち会うことを通じて、パソコンについて学ぶことができるよう心掛けましょう。
人の生活しているところに行くのです。見ようとしていなくても見えてしまうことがありますし、聞こえてくることもあります。
同様に、見ようとしていなくたって、ハードディスクの中の文章などが作業の途中で見えてしまうことだってあります。見てみぬフリも必要ですし、目に入っても見ないことです。
短期決戦なら、家族の反対を押し切って「パソコンボランティア」に駆け付けることも可能でしょうが (笑)、「パソコンボランティア」は“一度行けば全て解決”というより“何度か行く中でいっそう解決”のほうですから、家族の理解は大切です。ハイ、自戒を込めた発言です (笑)
それと、職場や学校やサークル、たまたまのつながりの中で「パソコンボランティア」を話題にすることで、思わぬところから同好の士というか助け手が登場するかもしれません。パソコンを趣味としている人はけっこう潜んでいるものですし、設定の困難なパソコンに燃える人もいます (笑)
「ボランティア」という、ことさらの意識など無くてもすんなり手助けしてくださる方々がいるのは嬉しい発見ですし、「ボランティア」の入り口のところで考え過ぎるのもよくないなぁと思わされるのがこんなときですね。
パソコンボランティアを始めた場合、決して安いとは言えないパソコンやパソコンの周辺機器をいじらざるを得ない「パソコンボランティア」としては「ボランティア活動保険(ボランティア保険)」に入っていたほうが安全です。サポート先への移動中に事故にあったときの怪我の保証もされますので、安心してパソボラするためには是非とも加入しておきましょう。
埼玉県障害者ITサポートセンターといった公的機関に登録したパソボラさんならボランティア保険に加入した上での活動となりますので安心ですが、登録の有無に関わらず自発的に活動を開始するのがボランティアです。サポート先での関わりの中からサポーターに加わる人が出てくるのはよくあることです。サポートの輪の広がりとして大いに歓迎するとともに、ボランティア保険への加入をおすすめください。
詳しくは、地元の社会福祉協議会に問い合わせてほしいと思いますが、ボランティア保険を担当している人が必ずしもボランティア保険に詳しいとは限りませんので、「パソコンボランティアはボランティア保険に該当しない」と言われるかもしれません(○○市や×××市の社協で加入を断られた人が実際にいました)。
でも、ボランティア保険を統括している全国社会福祉協議会にパソボラが該当するかどうかを問い合わせてもらいさえすれば、該当することがその場で明らかになりますので、「埼玉県坂戸市では坂戸パソコンボランティアがボランティア保険に加入している」ことを実例として上げながら、調べてもらいましょう。